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待ち行く人々の中、妙に奇抜な女がいる。
俺は何となくそいつに酒場の場所を尋ねる事にした。
「すみません。
俺……私は旅の者ですが、酒場の場所を教えてくれませんか?」
一応初対面だ。
慣れない敬語を駆使し尋ねた。
「いいだろう。
ついて来い」
俺よりチビなこの派手なミニワンピを着たピンクのツインテールの女は生意気にもため口を聞いてきやがった。
「よかった~」
この際、ため口何てどうでもいい。
酒場に辿り着けば……。
***
暫く歩いてると丸太作りの建物の前に来た。
「ここが酒場だ」
女は中に入り偉そうにいう。
「うほっ。
すげぇ」
見慣れない酒の並ぶ店内と酒のみ達に俺は驚いた。
「昼間から呑むとは呆れた奴だ」
そんな俺を見て女はため息をついた。
「失礼な。
俺は冒険の為にだな……」
「冒険?
まさか仲間を集めてるのか?」
俺の話を割いて女は目を輝かせ尋ねてきた。
「何だ?
仲間になりたいのか?」
女の態度からして仲間になりたいのは明白だった。
「違う!
そのお腰につけたものがほしいのだ!」
女は俺の腰にあるハリ戦の入った布を指差した。
何処かで聞いた事あるこのフレーズ……。
「桃〇郎かよっ!」
思わずつっこんでしまった。
「いいツッコミだな」
女は満足そうにいう。
「ありがとよ。
だけど、これはやれないぜ」
布に手をかけ俺はいう。
「……チッ」
眉間にシワを寄せ女は舌打ちをする。
「今舌打ちした?」
何て女だ。
強欲というか……。
「気のせいだろう。
とにかくあたしを仲間にしろ」
何故か女は俺に命令する。
「命令系?!」
何なんだ。
このツッコミどこ満載の女は。
俺とコイツが出会ったのは神様の悪戯なのか?
「五月蝿い男だな。
あたしはレイナだ。
仲良くしやがれ」
俺の気持ちなんかお構いなしにレイナは強引に仲間になった。
これでいいのだろうか……。
まぁ、それはさておき俺の情報収集は漸く始まったのだった。
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