第2章 郷愁と現実

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「いつから登校するかはわからないけど、これからよろしくな」 「うん! 待ってるよ」  チラッと広場の時計を見ると、家を出てから結構経っていたことに気づく。 「――俺、そろそろ家に戻るな、今日帰ってきたばかりだからまだ片付いてないんだよ」 「そうか、今日来たばっかりか……何なら手伝おうか、椿さんに挨拶しておきたいからさ」 「そういえば私も椿さんに挨拶したいかも、ダメかな?」 「う~ん、その気持ちありがたいけど……土曜日までお預けだ」 「む~、聖耶のケチ~、いいじゃん別に減るもんじゃないし……」 「まぁ、いつも元気いっぱいなのに長旅で疲れきった顔なんて見たくないだろ」  どうやら海斗の方は納得してくれたのだけど、文乃は何か納得がいかなくて、それを海斗が何とか説得をする。 「う~ん、まぁ、そう言われてみればそうだね、椿さんの疲れきった顔なんて見たくないよ」 「そうだろ? だから、約束の日まで会うのはやめておこう」 「う、うん、わかった……」  やっと折れてくれた文乃はちょっと残念そうな顔をしていた。因みに“椿”というのは俺の母親の名である。  そして、文乃が何やら携帯を取り出し、 「聖耶、携帯持ってる?」 「うん、あるけど……」  ポケットから携帯を取り出し、文乃に見せる。 「アドレス交換しよう!」 「あぁ、何かと思ったらそれか……おう、わかった」 「あ、俺も」  海斗も携帯を出して、順々に俺らは互いにアドレスを交換して、俺は2人と別れを告げて帰宅した。
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