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そして、三分も経たずにあっという間に俺がこれからお世話になる三年D組の教室の前まで来た。
「一旦ここで待っててね、後で呼ぶからそのときに入ってきて」
はい、と小声で返事をし、先生は教室へと入って行った。
不意に体の奥底にある何かが溜息となって口から漏れていた。
すると、扉の向こうから「入ってきて~」と声がした。
扉に手を掛け、一度深呼吸をし、扉をあけた。
正直、転校を何回かしているうちに嫌でもこの空気に慣れてしまう。
「それじゃあ、自己紹介お願いね」
「金沢高校から転校してきました、近藤聖耶です、これからよろしくお願いします」
周囲の反応はそれなりで、そこまで大騒ぎするような事にはならなかった。
それに関しては正直ホッとしている。
「それじゃあ、あの席が空いているからそこに座って」
それに従い俺はその席へ向かって歩み始めた。その途中俺は、海斗と文乃は呆気にとられた顔を見つつ、席に着いた。それを確認して教員の話しが始まった。
海斗と文乃が同じクラスだとは内心驚いた。
さらに偶然にも俺の席は文乃の隣で、流石にそれに関しては驚きを隠せないでいた……。
とりあえず、席に着き、文乃の方を見る。
すると、ふっ、と口元を綻ばせ、軽い笑みを見せる。
色々話したいことはあったが、その表情に胸が高鳴った。
い、いまの感覚は……一体、何だ……? 初めて見たわけでもないのに、寧ろ昔と殆ど変わらない文乃の笑顔なのに……一体何で――。
その事が引っ掛かり先生の話しどころじゃなかった。
そして、気がつくとHRが終わっていた。
「よう、聖耶、まさか俺たちのクラスに来るとは……ほんとビックリしたぞ」
「私も~、しかも隣の席だから余計に驚いちゃったよ」
「……そ、そうだな」
「ん、どうした? 何か様子が変だぞ」
「え、そ、そうか? もしかしたら、ここ環境にまだ慣れていないからだろ、きっと……」
「そうだったか……って、そんな事じゃないだろ? 何か別な事だろ」
流石、俺の幼馴染みやってないな……。実際その通りで、さっきの文乃の笑顔で高鳴ったあの気持ちに疑問を抱いていた。
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