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「い、いやなんでもねぇよ、別に何を考えようが別にいいじゃねぇかよ!」
「そ、そんなに強く言う必要はないだろ?」
「聖耶、本当に何でもないの?」
「……ほっといてくれ」
謎の感覚に苛立ちが募るばかりでここにいてもむしゃくしゃするだけだから、二人が静止するのを無視して俺は教室を出て行く。
「――聖耶」
文乃の様子を海斗は見ていた。そして、何かを感じとった。
「――もしかして……あいつ、文乃のこと……」
教室を後にした俺は屋上を目指し、学校内を放浪していた。
曲がり角の人影に気づかず、俺はそのまま歩いた結果――。軽く衝突した。
俺は、ちょっと弾かれた程度で済んだが、もう一方で――。
「あいたた~、もう気をつけなさいよ、君……って――」
「すいません、ぼーっとしてたもの、で……って――」
「『近藤君!』『葛城先生!』」
「だ、大丈夫ですか!?」
俺は慌てて手を差し伸べ、それに答えるように先生は手を掴み、勢いよく引き上げる。
「えぇ、大丈夫よ。近藤君は優しいのね」
「いえ、これぐらい何の造作も無いですから」
ちょっと照れ気味にそう答える。
「近藤君って、『天涯孤独』のイメージがあったから、ちょっと接するの実は怖かったんだ」
「俺って、そんな風に見えます? まぁ前の学校とかの奴にもそんな事言われてましたけど……」
「そんな事はともあれ、どうしたのこんな所で?」
「俺は、ちょっと上の方に……。そう言う先生はどこへ?」
「あなたの教室よ、もしかして、屋上で次の私の授業をサボろう何て考えていたのかな~?」
「い、いや、そういうわけではないんですけど……。まぁ色々と事情が……」
「問答無用です!」
そんな細い体でどこにそんな力があるんですか!? と、疑問を抱きたくなるほどの力で俺の腕を掴み、教室へ強制連行された。
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