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「海斗! こんな所に文乃を連れ出して何考えてるんだよ!」
校舎の外に配置されている体育倉庫へ海斗に呼び出され俺はやってきた。
「あれ、文乃はどこだ?」
「文乃には校門で待ってもらってるよ」
「そうか、それで俺に何のようだ……」
海斗は落ち着いた様子で口を開く。
「俺さ、文乃に告ろうと思うんだが、イケると思うか?」
「はぁ!? それマジで言ってんのか?」
正直、冗談にしか感じなかった。
「あぁ、俺は本気だ。お前がこの町にいない時に文乃のことが気になって、最近になってそれが【恋】だと気付いた――。お前は文乃のことをどう思ってるんだ?」
「俺は、あいつのこと――」
「あ、二人とも遅いと思ったらこんな所にいたの……」
いつまでも校門にやって来ない俺たち二人を待ちわびた文乃が若干息を切らしてここまでやってきた。
「ん、何? 二人でこそこそ話しなんかして……」
「いや、なんでもないよ、ちょっと聖耶に相談に乗ってもらってただけだから」
「ふ~ん、まぁいいけど。ほら早く帰ろう」
そう言って、早々と文乃はこの場を後にした。そして、海斗が文乃が行ったことを確認して、
「そういうことだから、お前があいつをどんな風に想っているかは分からないが、さっさと気持ちの整理をつけないと俺があいつを貰っちまうからな」
ボソッと俺に囁き、先を歩いていった。少し遅れて俺はその後を追う。
その帰り、海斗の突然の告白に文乃のことを意識してしまい、他の事は頭に入ってこなかった。そして、気がつけば二人と別れ、俺は家に着いていた。
いつも通りの時間を過ごし、布団に潜り込む。
『俺さ、文乃に告ろうと思うんだが――』
『お前は文乃のことをどう思ってるんだ?』
この言葉が俺の脳内で繰り返し繰り返し再生される。
「……文乃を、どう思ってるか、か……」
そんなことを考えているうちに、俺はふと今日までの事を思い返していた。
どうしてだろうか、あまり意識をしていないのに文乃の笑顔しか浮かんでこない――。
俺、もしかすると……文乃、の……こと……が――。
何かに気付いたときには、睡魔に負けて深い眠りに就いた。
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