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そして気がつけば、海斗と文乃と合流していた。
「聖耶、おはよう」
「よっ! 聖耶」
海斗を見た途端、昨日の放課後の事を思い出してしまい、もうすべてがどうでもよくなってきた……。
「? どうしたの聖耶、気分でも悪いの?」
「いや、大丈夫、問題ない……」
「本当に? 無理して――」
「大丈夫だって言ってんだろ!! ほっといてくれ! ――――……すまん」
それだけを言い残して俺は走って去った。
「……聖耶」
どのくらいの距離を走ったかは分からないが、椛高の近くまで来ていた。
「はぁ、はぁ……こっちに来てから変だな、俺……」
昔ならこれくらい造作もない筈なのに――。
さらにそんな事を考えていると、あっという間に校門を潜り、校舎の中に入って、教室へと足が動いていた。
クラスメイトに挨拶を交わしつつ、奥の方にある自分の席に向かった。
やっとの思いで席に座ったのだが、何か落ち着かなくて直ぐに教室を出て行き、即座に屋上へ向かい時間を潰した――。
「そろそろ戻るか……」
重い足取りで俺は屋上を後にして、階下し教室に戻った。
「あ、聖耶……どこに行ってたの?」
教室に入ると、文乃が駆け寄って来た。
「別に良いだろ、そんなこと……」
「む~、聖耶、昔と比べて意地悪だよ……」
「そりゃあ、昔とは今は違うからな」
「それはそうだけど――」
「まぁ、そういうことだ」
「あ、ちょっと聖耶」
俺は話を切り上げ、席へ戻る。そして、丁度良いところでHRの始まりを知らせる予鈴が鳴り響き、仕方なく文乃も席に着いた。
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