第1章 再会

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「聖耶そろそろ行くわよ、準備はいい?」 「あーい、今行く」  部屋を後にし外に出た。  そして、家に別れを告げ、親父は車を走らせた。  ――待ってろよ、海斗、文乃……。  出発してから四時間くらいかけて紅葉町に着いた。  到着した頃には辺りはもう昼を過ぎていた。 「とりあえず、家具は邪魔にならない程度に置いてもらって、まず聖耶は荷物を自分の部屋に持って行きなさい」 「あいよ~」 「終わったら、久々に紅葉町の景色でも見てらっしゃい」 「いいのか、俺だけ行って? 母さんたちも見たいだろ?」 「いいの。母さんたちは大丈夫だから、ただ早めに帰ってきてね」 「そこまで言うならわかったよ。お言葉に甘えさせてもらうよ」  そこまでないが三、四個ある段ボール箱を二階の俺の部屋へ二十分くらいかけて運び、それを部屋の片隅に置いた。 「それじゃ、ちょっと出かけてくるわ」 「気を付けて行きなさいよ」 「おう、んじゃいってきます」  家を出た俺は、この街の観光名所である紅葉ヶ丘を目指した。  その間に次に俺が通う事になる高校の通学路の確認をしたり、商店街など見て回っているうちに紅葉ヶ丘に辿りついた。今はまだ紅葉のシーズンではいから観光客はいないものの、以前この町に住んでいた時とは変わらず活気に溢れていた。 久々の景色に見惚れていると――。 「海斗、遅いよ、早く~」  少し聞き覚えのある声を発し、ポニーテイルの少女が俺の方に近づいてきていた。その声と姿に少し違和感を感じた。  ――あの娘、今『海斗』って言ったか? 「そんな急ぐ必要ねぇだろ、今日も来てるわけないんだからさ」  その後ろから、あの娘の幼馴染みであろう青年がその後ろからやって来た。その刹那、感じていた違和感は俺の中から消え、確信へと変わった。  ポニーテイルの少女はかつて俺の幼馴染みだった『桐沢文乃』で、その隣にいる青年は同じく俺の幼馴染みだった『工藤海斗』その二人だった。  自然と俺は二人のいる方向へ足を運んでいた。 「今度こそ来てるはずだよ、絶対に」 「んなこと言ったってさ、ここに聖耶がいるわけが――」 「? どうしたの海斗?」  異変に気づいた文乃は、海斗の様子を伺っていた。
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