第2章 郷愁と現実

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 翌朝――。  転校初日の朝のHRに俺は教卓の横に立ち、自己紹介をしていた。 「金沢高校から転校してきました、近藤聖耶です、これからよろしくお願いします」 「それじゃあ、あの席が空いてるからそこに座ってくれ」  それに従い俺はその席へ向かって歩み始めた。その途中俺は、海斗と文乃は呆気にとられた顔を見つつ、席に着いた。それを確認して教員の話しが始まった。  ――これは、つい昨日のこと――。 「そういえば、お前学校はどうすんだ?」 「はっきりとは言えないけど、確か椛高校に転校することになったってたかな?」 「え、聖耶、椛高に来るの!?」  若干、驚きを隠せない様子の文乃に対して、 「そうだと思うけど……何でだ、俺がそこに行くと何か都合が悪いのか?」 「い、いや、違うの……、その高校、私たちも通ってるの」 「ま、まじで!?」 「うん、これがその高校の制服だよ」  そういって、くるっと一回転。その際、スカートがひらりと舞い上がり、白く健康的な太ももが見えてドキッとしてしまった。そして、それに追い討ちを掛けるかのように、一陣の風が文乃を襲った。  その勢いで、スカートはさらに捲り上がり――。  ――――あ、白……。  時間が止まったような気がした。海斗は何かを必死に堪えているし、俺は思わぬハプニングに見舞われた為、思考が着いていけていなかった――。被害者の文乃はというと……。 「……え、ぁ……ぁ……」  かなり困惑気味な様子で目に涙を溜めている。  思考が完全に戻ってやっと事の重大さに気づいた。 「ふ、文乃!? 今のは完全に事故だ! 見てしまったのは謝る、だから――」  文乃の爆発しそうな感情を落ち着かせようとしたが、 「――聖耶のバカっ!!」  文乃の手の平が俺の頬をめがけ飛んで来た。
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