紡ぐ-健斗-

2/2
前へ
/78ページ
次へ
「・・まぁ、とりあえず入れば?」 これは一つの賭けだった。 『あの』彼女が今目の前にいる。 自分を探してここに来たんじゃないか・・ そんな馬鹿な期待もしてしまう。 なぜなら・・・ 彼女のこの顔は、いつもの憎しみの顔ではなく・・・ はっきりと俺でもわかるくらい、 恋をしている女の顔だったから・・。 彼女は少し悩んだ後、ゆっくりと足を踏み出した。 彼女が入ることを選んだ。 そのことがとても嬉しくて、同時にその歩みがとても遅く感じ、俺は彼女の腕を強く引っ張って無理やり教室の中へと入れたんだ。 ガラガラ・・バタン。 ---そうやって全ては始まったんだ。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加