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満員電車を降りると、真新しい学生服の生徒たちはまっすぐ階段を登っていく。 俺はその人の波がおさまるのを待とうとイヤフォンを耳に入れながら、辺りを見回した。 ふとホームの先を見ると、一人の女子生徒が今降りたばかりの電車が遠ざかっていく様子を、ただじっと見つめていた・・。 肩より少し長めの、まっすぐな髪が風になびく。 それも気にせず・・ 彼女はただじっと前を見ていた。 …桜が舞うホームで、ただ一人。 人の波に抗って立ち続けるその後ろ姿がやけに印象的で… しばらく彼女の後ろ姿から目が離せなかった。
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