No.標

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それ以来というのかレイは感情を抑える様になった。 両親と仲間を殺した男を今でも憎んでいる。出来ることなら自らの手で殺してやりたい、と願うほど。 ―――止めよう。 もうあの男は死んでも牢獄という地獄から脱け出すことは、無理だ。それに優しかった両親のことなので、レイには手を汚して欲しいとは願ってはいないだろうから。 だけどもし、万が一あの男が出てきた時には…レイは必ず手を下す。 それだけは譲れない。仲間と両親を殺した罪は重く償って貰わなければ、少なくともレイは自分のことも一生恨み続けねばならないので。 レイは随分と久しぶりに夢を見た。 まだ幼かった自分が闇のように暗い場所で、泣きながら謝っているという夢。 ふと何とはなしにレイは顔に手を当て、あることに気付いた。何故だか触れた手が濡れていたのだ。 ベッドから立ち上がり鏡を覗き込めば…知らぬ間に泣いてる姿が写った。涙なら感情を抑えるようになったあの時、捨ててきた筈なのに。 やはり、夢なんて見ても意味なんてない。 レイは洋服タンスから適当に服を引っ張り出して、着替える。着替え終われば顔を洗ったりと身だしなみを整えた。 そういえば確か起きたら、広間に来るようにと言われていた気がする。面倒だと思いながらもハンガーに吊るしていたコートを引ったくり、相変わらず鍵を閉めずにレイは部屋を後にした。
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