No.標

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「静粛に」 高価な装飾がされた椅子に座っている全身を黒に包んだ、嗄れた声がゴホンと咳払いをしながら私語を慎み静かにするように、二人に分かるようにと促した。 「…失礼」 「う゛…むー…」 ジルはいつものレイ以外にはほぼ無関心で興味がない、言わば冷静心を取り戻してナルカは指摘を受けた事に、少しばかり納得のいかない様子。 いつも行われる集まり(定例会議)なのだがレイは正直、余り気が向かないせいか…それさえ忘れがち。おまけに、朝は得意ではないから尚のこと。 それも今に始まった事ではないのだが。 定例会議が終り今日は依頼も入っていなかった気がする。レイは一人またあの暗い廊下に足を一歩出そうとしたところ、先程聴いたばかりの声に止められたのだ。 「レイ」 踏み出そうと少し浮いていた足がその場に踏み止まり、顔だけを向ける。 「急だがレイ、お前に任務が入った」 「分かった」 そう頷けばターゲット(標的)はこれだ、と言いながら身に纏う黒の中から数枚の紙束と一枚の写真を渡してきた。 レイは静かに渡されたそれ等に目を通す。今回のターゲットは、どうやら女性らしい。 「…行ってくる」 大抵がレイに回ってくる依頼は昨日の様な…言ってしまえば、落ちぶれた人間ばかり。だからこの時もそう思っていた。
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