No.標

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渡された資料には標的について、今までの経歴などが事細かに書かれている。 今から自分が消す人間について正直知りたいとも思わないし知ったところで、何も変わりはしないのに。大まかに目を通したレイは、一人列車に揺られとある街に来ていた。 「…此処か」 ぽつりと呟いて列車から降り、今回の目的地となる場所へと向かう。 渡されたあの資料にも載っていたが…本当に今までの標的とは違っている。何がか、と言えば分かりやすく言うと地位だ。 本来、標的になる人間は少なからず他人や周りに危害を加えたり権力等を利用して、好き勝手をする人間。だけど今回は本当に資料(今までも資料が間違っていたことはないが)の通りであれば―――、一体何故標的なんかになったのだろう。 珍しく気になることが出来たレイは悶々と考えた。 「金じゃないなら…何だ?」 考えれば考える程に深く入り込んでしまう。結局、標的が居るであろう目的地に着くまでずっと考えていたのだった。 「…………」 出来るだけ音を発てず悟られずに忍び込むのが基本。キィー…と控えめに開けるも、やはり少し音が発ってしまうのは仕方がない。 室内に入ると直ぐにテーブルが目に入る。 そしてその奥には扉があり、どうやらもうひとつ部屋か何かがあるらしい。標的も今レイが居る場所には居ないので、扉を開けることに。
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