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一体、誰がいつの間に?どうやってナディに手を下したのだろうか。それに何処から浸入して…否、恐らく浸入して来たのはきっとあの窓だろう。
じっと片方だけ扉の開かれている窓を睨み付ける。
「あ、あぁ…ナディ…ナディ…誰が…!誰がこんな、こんな酷いことを…!?」
血溜まりに濡れそぼったナディの頭を抱えながら、悲痛な叫びを上げる。もう二度と動くことの無い、頭から離されて冷たくなった身体を手繰り寄せて。
大事そうにナディだったモノを抱えた母親が辺りを見渡し、不意にレイと目が合った。
「だ、誰だい…?!」
だがレイは何も動じる様な素振りは見せることなく、ただ冷たい風を運び込む窓を睨み付ける。
反応を見せない事に始めは疑問に思っていたようだったが、それも次第にある答えに辿り着き…狂ったように、声を荒気出したのだ。
「アンタだね!?アンタが…アン―――」
「…俺ではない」
発狂し今にも飛び掛かって来そうな母親の声を遮ったのは、他でもないレイ。
「……違うって、じゃあ…アンタは一体…」
当てが外れ力無くだらりとその場に重い腰を下ろす。
「…正しくは、まだ」
「どういう意味だい…?」
最愛の娘であるナディを失ったことから生まれた涙や鼻水、それ等で滅茶苦茶になった顔を上げて虚ろな瞳で深々とフードを被った、レイを見上げる。
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