No.標

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「エレナ・グレイ。俺はお前を殺しに来た、抹殺者だ」 それを解りやすく証明するかの様に、チャっ…と銃を母親(エレナ)に向ける。 流石のエレナも今、自分の前に立っていて自分自身に銃を向けている人物―――、レイの正体に気付いた。レイがどんな人物かというけとに。 「アンタが…深紅の血猫…」 「……ああ」 ぽつりと呟かれた言葉にレイは表情を見せること無く、無機質に答える。 「でも…邪魔が入った」 レイがそう言うと思い出したかの様にエレナが再び最愛の娘だった今では変わり果てた姿をした、ナディの名前を呼ぶ。返事なんて今後返ってくることはないと分かっていても、すがらずには居られない。 「……ナディ…ナディ…」 血溜まりの中に横たわる身体に頬を擦り付けながら何度も何度も。 暫くそうしていたが、ナディを失った悲しみは何物にも変えがたく…悲しみに暮れたエレナは弱々しい身体をフラフラとしながらも立たせ、レイにすがり付いたのだ。 予想していなかった出来事に一瞬、瞳を見開いたレイだったがフードの中の見えない表情をいつもの無表情に戻し、腰辺りにすがり付いてくるエレナを見下ろす。 「お願いだよ…。娘の所に、私も…私も…!」 一秒でも早く私も行かせて欲しい、と懇願してくる。 殺そうとして此処に来た筈だったのに…わざわざ自ら殺してくれと言っているのに、何故だかレイはトリガー(引き金)を引けなくて。
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