No.扉

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「っゆ、許してくれ…!」 本能が危険だと察した事で感じたことの無い恐怖が生まれ、男は情けなく尻餅を命乞いをする。 「か、金か!いくら欲しいんだ!?おっお前なら…家で雇ってもい、いいぞ」 必死に何とか生き残る術は無いかと自分の出来る事を口にするが、欲にまみれた男が口にするのは「金」ばかり。彼の耳にはそんな言葉は届くことはなく、美しく輝く銀の装飾が施された銃を男に向ける。 黒いコートを着ている上にその顔はフードを深々と株っており、残念ながらその表情は伺えない。 だけど男には彼の顔が見えるらしくただただ恐怖で震えながらも何故だか、彼をじっと見つめたまま。 そして今度は何を思ったのかあれだけ怯えていた筈なのに、男はうっとりとした様な表情を浮かべ、言った。 「…ならば私が買ってやろうか?最初は実力をかっていたが…お前なら、」 ―――パァンッ! 突如、銃声がこの辺りでは広すぎる屋敷内に響いた。男の口はそれ以降喋る事なく無惨に崩れ落ちたのだ。 彼は何も語らずただ床に崩れ落ちたまだ微かに温もりを保っている男の死体を、無表情に見下ろす。 依頼を受けて此処にやって来た彼だが資料と共に見せられた写真を見た時は、ほんの僅か男が彼に依頼(標的)として回ってくるような人物には見えなかった。…が、やはり人間は見掛けでは測りかねないようで、男が彼の処にきたのは正解だったらしい。
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