No.標

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恐怖と衝撃で震えるエレナと元から整っている貌(かお)故に怖い程の無表情を浮かべたジルの距離が、徐々に縮まってゆき既にその距離は縮まっている。そして携えていた大振りの鎌を―――、躊躇うこと無く振り下ろす。 いきなりだったこともあるがあまりの衝撃に、柄にもなくこの時レイは呆然としていた。 暫く呆然とその場に立ち尽くし目の前の光景を見ていたが、次の瞬間、懐に入っていた小型の携帯に着信が入りハッと我に返ったのだ。 「っ…!あ、ああ…」 『どうした?』 「…何でもない」 『そうか。それよりも……レイ、ジルを知らないか?』 その問い掛けに携帯を耳から少し離して、くるりと顔だけを後ろに向ける。 ジルなら此処に居る、と言おうとしたのだがジルも長老に任務を言い渡されたと言っていたのに…わざわざ確認を取るような連絡は、今まで入ったことはない。 ならば何故確認を取るようなことを言うのだろうか。 「ジルがどうかしたのか?」 『……ジルは、先程我々を裏切り敵になった』 ―――は…? 一体、何を言っているのかと意味が理解出来なかった。たった今自分の目の前に居てレイも実力はかっているジルが―――、裏切った…?どういう意味か確かめようとした直後、片手にあった筈の携帯が姿を消した。
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