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レイが組織の主力メンバーの一員になったのは二年前。丁度、その同時期にジルもその一員になった。
その頃はまだジルも今の様な雰囲気ではなく、メンバー内でも離れた存在ではなかった。ならば、何故ジルが狂った様にレイに執着心を抱くようになったのか…それはまだ二人しか知らない。
目の前で不気味な笑みを浮かべて笑い掛けてくるジル。
「…………」
互いに一言も言葉を発しようとはしない。ただじっと睨むような見つめるような視線が、交わるだけ。
「…フフ」
ジルに限って痺れを切らしたということではないだろうが、突然口元に手を宛て笑い出す。レイには何が可笑しかったのか分からず、整った眉を寄せ顔を歪める。
「……何が可笑しい」
「いや、ごめんごめん。やっぱり、レイが一番綺麗だ」
「…ぶち抜かれたいか?」
チャ…ッと愛用の銃をジルの目の前に翳す。そんな行動さえも狂ってしまったジルには一種の興奮作用にしかならない。
人よりも関心が低く周りに興味を持たないだけで別に短気なわけではないが、流石のレイも不気味に思い構えていた銃を下ろした。
「おや、辞めるのかい?」
「標的はもう無くなったんだ。俺は戻る」
「ふふ…そうだね」
レイが先を歩いて行けばジルは楽しそうにその後を着いていく。
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