No.標

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ジルは不思議そうに首を傾げた後、レイを恍惚とした表情で見つめながら言う。 「何を言ってるんだ。僕は君のパートナーなんだよ?」 別に忘れていたわけではないがそう言われて改めて、嫌でも実感させられる。パートナーなんて好きでなったわけでも決めたわけでもないのに上から決められただけなのだ。 「君のパートナーは僕以外、あり得ないしね」 と、過去に3回程度パートナーということで任務を共にしただけでジルは既に自分がレイのパートナーであって自分がレイに相応しいのだ、と痛く自負している。 その異様な迄の執着心には不気味さすら負けてしまう。 一秒でも早く自室に戻りたいレイは、足速に中央に設けられた椅子に座っているある人物に向かって口を開いた。 「…アダム・チャックは?」 「死んだ」 「やはりレイには簡単すぎたか?報酬はこれだ」 机の上に置かれた数個の紙袋はどれもパンパンに詰められている。 「…いくら?」 「1.450だ」 「ふーん」と大して興味無さげに呟いて全ての袋を懐に仕舞い込み、今度は話し掛けてきたジルにも見向きもせずに暗い廊下へと消えて行ったのだ。 確かに明るい場所と暗い場所どちらが好きか?と聞かれれば、暗い場所の方が良い。だが余りに暗すぎるのは不便で、此処は電気のひとつも無いので見にくい。
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