No.標

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普段から鍵を掛けていないレイが開いていると思いながら手を掛けた時、何故なのか閉めた覚えの無い鍵が閉まっていたのだ。 「…は、」 意味が分からないといった風に整った顔を微かに歪める。 するとふいに背後に今まで感じなかった温もりと感触を感じたレイは、バッと振り向くと…そこには悪戯を楽しむ様に笑う少女が立っていた。 「ふふ。これ、欲しい?」 そう言いながらカラフルなスカートのポケットからチャリンと音が鳴る鍵を取り出し、レイの前に出す。 始めはそれが何なのか分からず目を細めていたレイだったが、それがたった今入ろうとしていた自室の鍵だと理解した。 「…ああ」 「どうしよっかな~?」 悪戯を楽しむかの様にニヤニヤと笑みを浮かべながら、手の内にある鍵をレイの前にちらつかせる。 正直鍵が無くても蹴破れば簡単に入ることが出来るのだが…壊せば後々、自分にとっては面倒な事になりそうなので蹴破るのは止めておく。 しかし、レイにはどうして彼女が自分の部屋の鍵を持っているのか不思議で仕方ないのだ。(理由は単純に開いている部屋に忍び込んで、鍵を見つけたからなのだが)。 まるで猫のようにじっと鍵を見つめる視線を彼女はレイが自分を見つめていると勘違いしたらしく、ニヤニヤしていた筈の顔は何処か照れた様な表情へと変わっていた。
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