No.標

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終いには恥ずかしそうに顔を両手で挟み込み、身体をもじもじとさせだした。 「どうしてもって言うなら…返してあげるよ…?」 普段から身長的にも差があり上目遣いなのだが、今日はいつになくその身長差を利用してうるうると瞳を耀かせて上目遣いを強調させる。 確かに彼女の容姿は贔屓するわけでも周りと比べるつもりはないが、平均よりも数段優れている。世間一般で言われる所謂美少女というやつだ。 だけど残念ながら何に対しても余り興味が湧かないレイには何の意味もなくて、どんなに可愛く魅せようとも効果は現れない。 「何でもいいから、早く返してくれ」 すっと手を彼女の前に差し出し鍵を返すようにと促す。 「じゃ、じゃあ…さ」 レイ以外の者であれば多少は効果はあるであろう上目遣いのまま、そろそろと歩み寄ってきた。 「―――ナル(ナルカ)のお願い…聞いてくれる?」 内心早く寝たいと思う気持ちと面倒臭いという気持ちを抱きながらも、言えばそれよりも面倒な事に巻き込まれそうな予感がしたレイは、反論する事もなく耳を傾けた。 「何?」と言いたげな視線をナルカに送ればその意が通じたのか、続きを口にする。 「に、日曜日…」 「………」 「ナルと一緒に買い物に付き合って!」 「…買い物?」 意外にも無理難題をぶつけてくるかと思いきや、あっさり頷いてしまう内容だった。
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