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「ううう……理事長が決めたのなら仕方がないけど、まだ胸の中がモヤモヤする。でも……」
信じたらしく、ペルセフォネははぁ、と溜め息をついた。普段はあまり表情に出さないが、優也に気があるらしいことはユリスはから知っていた。しかし、直接色恋沙汰(?)になるまではっきりと態度を示さなかったのはただのムッツリだったのではないかとユリスは思った。
優也に詰め寄っていたノアたちも同様であり、内心面白おかしく思えたのはいうまでもない。
「…………さっき……から……何を……話して……いるの……?」
サージェリアが首をコテンと傾げる。どうやら話の内容が何のことか分からなかったらしい。
「知らなくてもよいぞ? 血に塗れた話じゃからな」
ユリスの言葉にサージェリアは目を瞬いた。そして、コクンと頷く。
「アーシャ、わらわは優也に対して――」
右手の小指を立てる。
「――ではないぞ? 心配しなくてもよい」
そう言っておく。アーシャとペルセフォネは胸を撫で下ろす。そしていきなり顔を真っ赤になり俯いて、
「……うぅ、恥ずかしいわ。ユリスは何ともないとわかったらほっとしちゃった」
と安堵の笑みを浮かべた。
「私も」
ペルセフォネも同様だった。かなり小さな声で、アーシャに聞こえていなかったが、ユリスには聞こえていた。
(やれやれ……)
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