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(ばれてもしものことがあればいけないじゃて、一切魔法を使わなかったのが幸いじゃ)
それとは裏腹に心のなかで安堵する。
ユリスはチーズケーキを作る間、一切魔法を使わなかったのである。作る時間はかかったが、魔法を使えることをばれなければ時間なんぞ苦にならなかった。
「わかった。母上だけ作り方を教えてあげるかの……もう隠すことは出来ないだろうし」
(前世から作ることが出来るだなんて腹切っても言えぬ)
ユリスの言葉にアステリアは嬉しそうな顔になった。
「ただし、夜でお願いできるかのぉ? 昼でやったら料理人の邪魔になるのじゃし」
アステリアは頷き、
「わかったわ」
(気配りてきるなんて。さすが私の娘だわ)
そう思いながら、娘の頭を撫でるアステリアであった。
(久しぶりに料理するのだけれど、うまく作れるかしら)
公爵夫人になってから食事は料理人にまかせていたので、何年も料理していなかった。嬉しさとは裏腹に少し不安に感じていたのだった。
それから毎夜ではないが、ユリスはアステリアにチーズケーキや他のスイーツの作り方を教えることとなった。
ユリスが新しいスイーツを作るたびにアステリアはびっくりし、「どうやって作り方を知ったの?」と聞いたが、ユリスは本で書いてあったといった。
(いつまで隠し通すことができるじゃろうか)
と冷や汗が出る思いであった。
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