スタート

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それから何も起こらず2年が過ぎ、ユリスは8歳になった。  ある日、ユリスは自分の部屋で本(聖王国史)を読んでいた。  こんこん、とノックする音が聞こえ、「ユリス、わたしだ」 と、父親の声が聞こえた。 「うむ、今ゆく」  本を本棚にしまい、ユリスは扉を開け、ギルスを中に入れた。彼女はうすうすと察していた。 「ユリス、今日お前の魔力と属性を測る」 (やっぱりじゃのぉ)  公爵家であるためか、他の家にない魔力や属性を調べるための水晶がある。  ユリスは近いうちにそれがあることに気づいていた。 「行こうか」 「うむ」  手を繋ぎ、部屋から出る。 「ほぉ……これが水晶なのか?」  ユリスは透き通ったような水晶をみて言った。  この部屋には水晶が置かれた台他何もなかった。  思わず撫でてみたくなったのは気のせいなのかなと思った。 「魔力を感じることができるか?」  ギルスが訊くと、ユリスはこくりと頷き、体中の魔力を手に集める。 「それを維持したまま水晶に手を当ててごらん」  ユリスはそれに従い、水晶に触れる。  すると、水晶の表面に数字が浮かび上がってきた。 「すごい……魔力量が100000だと? 属性は……水と風と闇か。3属性とは珍しい方だぞ」  
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