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「わかった」
ユリスは頷き、言った。
ギルスは頭を撫で、小声で「アステリアの血が飲みたくなった……」と呟いていた。ギルスは吸血衝動が起こった時はアステリアの血を飲むことにしていた。朝貧血気味になっているときは前の日に血を吸われていたのだった。ギルスもそんな時もあった。アステリアに血を吸われているのである。
いわば夫婦で互いに血を吸い合っているのだ。
「ほどほどでの」
ユリスがそういうと、ギルスはびっくりしたような顔になった。
(聞かれたのか……)
「なるべく善処しとく」
そう言って、部屋を出た。
「学校、か……」
前世で一通り義務教育を修了しているユリスにとっては退屈のような気がしてきた。
いきなり扉が開き、ローラスが入ってきた。
「さっき魔力を測ったって? 教えてよ」
どさくさにユリスに抱きつこうとしたところでひらりとかわされる。
「断りを入れてから入る、てゆうこと知らぬのか?」
ユリスは怒って言った。
「ごめんよ。魔力量は何だった?」
半分スルーされたことにむっと成りながら答える。
「100000じゃ。属性は水と風と闇じゃの」
「ええええーーーーーー!?」
かなり驚いたらしい。開いた口がふさがらないほどだった。
「妹に負けた……」 へなへなになっていた。よほど悔しかったのか……。
「属性が3つだなんてすごいよ」
ユリスはやれやれとため息をつき、ベッドに座った。
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