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ローラスは膝を抱え、床にのの字を書き始めた。何か言ってほしい雰囲気を纏っていたが、ユリスはスルーして本棚から聖王国史を取り出してさっき読んだところから再び読み始めた。
床に座っていじけているローラスとそれを無視するかのように涼しい顔をして本を読んでいるユリス。なかなかのシュールな光景である……。
これが数十分経ったところでようやくローラスが口を開いた。
「ユリス、僕の状態を見て何か言ってよ……」
本に没頭しているユリスは、兄の言っていることが全く聞こえない。
「…………」
またもやがっくりと肩を落とし、メイドのエリシアが来るまでこの状態が続いた。
ローラスの精神的ダメージは計り知れなかったのだろう。夕食の間、ズーンとした雰囲気を纏っていた。両親は何が起こったのか察しがついていたので言わないでおいた。
(大丈夫かのぉ? 兄上)
ユリスはまるで他人事のように思い、食べ物を口にふくんでいた。
ユリスのSっ気は兄に対して強くなっていくようだった。それとは裏腹にローラスは心の中の片隅で嬉しさを感じていた。ユリスとは逆にだんだんとMに近づいていくことにユリスは知らない。
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