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ナルディアはテーブルに置いてあったコーヒーを啜ると、また言い出す。
「それと、〝雫〟ちゃん、貴女、帝にならない?」
「え?」
唐突な問いに、ユリスはと戸惑いを隠せない。
「前から言っているけど、あなたの実力は他の帝たちの実力とあまり変わらないわ。それどころか、もっと上に上がるような気がするの」
ユリスには前からナルディアに帝にならないかという誘いを数回受けていた。しかし、ユリスはまだ実力がともなっていないからならない、と断り続けた。
「私はまだ未熟だから、帝にはならないわ」
ユリスは今回も断った。
「そう……。でもね、思いがけないところから誘われるかもしれないから、私以外でもね」
そう意地悪気な笑みを浮かべながら、ナルディアは言った。
「それってどういう――」
「帝たちに念話を送ったわ。炎帝は席に座っていてね。〝雫〟ちゃん、私のそばに来て」
(はぐらかされたのじゃ……)
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