茜色

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教室の窓際から2列目。 一番後ろの席。 授業の始まりを告げるチャイムとともにガタガタと席に着く生徒たち。 廊下から勢い良く飛び込んでくる生徒もいれば、マイペースに先生と話しながら教室に入ってくる男子生徒もいる。 友達感覚で相談にも乗ってくれると校内で人気のある先生だ。 桜も先生の姿を見るなりわたしの方を振り向くこともなく急ぎ足で自分の席へと戻った。 途中誰かの椅子に足が引っ掛かり、痛そうにするが周囲にわからないようにクールに振る舞う姿がわたしのよく知っている桜らしくて笑える。 あんな涼しい顔してるけど、絶対あれは足のスネを打ったはず。 心の中では泣き叫んでるんだろうなー。と、教卓の真ん前の席に座る桜の背中をぼーっと見つめる。 先生が教科書を手に持ち、黒板に向かい話し掛けながら書く文字を教室内にいるほとんどの者が真似して書き写す。 少し視線をずらし丸い文字盤に目を向けた。 数時間前────
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