空もよう恋もよう

茜色

ガシャーンと何かが倒れる音と、わたしの名前を呼ぶ声、わたしのおでこへの衝撃、痛み、怒り、悠斗、バカ、アホ、バカ、アホ・・・・

「いっ・・・うっ・・・」

あまりの痛さに声がうまく出ない。

競争をしようと勝負を持ちかけ、しゃがみこんだわたしは名前を呼ぶ声の方へと顔を向けた。

自転車にまたがり片足を地面につき止まっていたはずの悠斗が・・

傾いて・・く・・る・・？

わたしの方へと・・

え！？

全てがスローモーションのように、でもこんな時ってどうしてか身体が動かない。

冷静に考えれば避けることも、手を出して倒れてくるそれを止めることもできたのに。

ガンっ！！！

と鈍い音と痛み。

わたしの額には悠斗の右手がかけられていたであろうハンドルが垂直にヒットしていた。