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家がすぐ近くだからと帰ろうとしたわたしを、半ば強引に自分の家に来いとつれてきた悠斗は、ガーゼを何枚か重ね、わたしの額のまだうっすらと血が滲んでくる傷口に合わせて四角くカットした。
悠斗のお母さんは、「掃除と洗濯を済ませたら自分は会社に行くからゆっくりしていきな」と、「本当にごめんね」とだけ残し部屋を足早に出ていく。
本当に忙しい時間帯にお邪魔しちゃったんだな・・
悠斗の母親は肌が白く目元が黒よりも茶色に近い。大きな瞳で少したれ目なところにまた色気を感じた。
悠斗はお母さん似かぁ
美人な母親にしてこの息子あり。
そう言えば悠斗も学校では人気があるって桜が言ってたな。
うん。
わかる気がする。黙っていればいい男だ。
ガーゼを張りつけるためのテープを、数枚適当な長さに真剣に切っている悠斗を見つめる。
目を伏せると普段からも長い睫毛がより一層長くみえる。
わたしの食い入るような視線に気付いたのか、悠斗が「なんだよ」と笑いながら話し掛ける。
なんでもない!と、見ていたことに気付かれていた恥ずかしさで少し強い口調で答えた。
思わずソファの上に無造作に置いてあるテープの箱を手に取る。
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