茜色

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『肌にやさしくしっかり固定。メッシュばんそうこう』 何も考えずに書かれていた文字を目で追っただけなので、特に頭に入って来ることはなかった。 暇を持て余し、きょろきょろと辺りを見渡すわたしの視界に時計が入る。短い針は6と7の間を陣取り、長い針は腰を曲げた状態でいる。 まだこんな早い時間。 でもいつもならもう電車に乗ってるころだなぁ。 帰宅部にもかかわらず、毎朝早めに家を出るわたしは学校に着くのも早く、だからと言ってグラウンドから朝練をしているサッカー部や野球部の姿を見るわけでもなく、いつも教室でぼーっとしている。 朝練。 朝練・・・ 「悠斗! 朝練あったんじゃない!?」 またもやビクっとする悠斗。 「うち、朝は自主練だから」 そのままこっち向いててと言われ、悠斗の手がわたしの額のサイドに流れている前髪に触れる。 「・・・・・ない」 「え!?何!?」 前髪をクリップで留め、額の傷を手当てしながら呟いた悠斗の声がうまく聞き取れなかった。
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