小学校という世界に

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突然、知らない番号から電話がかかってきた。 「藤倉先生のお電話番号で間違いないですか?」 私は、思わず「はい?」と聞き返してしまった。 私はそれまで、ホームヘルパーだった。そのため、先生という言葉を聞いて自分のことだとはわからなかったのだ。 「私、D小学校校長の高田です。支援に来てくださる藤倉先生ですか?」と言われ、ハッと気づく私。 少し前に、小学校で支援員として働くために面接をしていた。 教育委員会から連絡が来ると思っていたけれど、学校から直接いきなりくるとは・・。 ようやく事態を飲み込み、飛び上がって座りなおした。 電話口で、優しいがしっかりした声の女性がこれから関わっていくであろう子どもたちの話をした。 話を聞きながら、どう関わるべきか検討してから子どもたちと接したほうがいいだろうと頭の中で考えていた。 様々な問題を抱える子どもの話を聞いても、私は不安になるどころかワクワクすら感じた。 ホームヘルパー時代もそうであったが、私は事態が難しいほど燃え上がるタイプなのだ。 大抵のことは乗り越えられるだろうと信じていた。 しかし、この後、子どもたちは聞いた話以上に様々な問題を抱えていることがわかっていく。
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