小学校という世界に

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その日、辞令交付式という教育委員会から辞令を言い渡される式を受け、9時には小学校に着いた。 1時間ほど校長室で教頭先生や教務の先生から話を聞いて、体育館に向かった。 初めて舞台に上がって子どもたちや職員の前で挨拶をしたときは緊張して何を言ったかよくは覚えていない。 私が主に担当するのは2年1組だと教頭先生に告げられた。 「直接自分の目で見るのが一番いいだろうから、詳しくは話さないでおくよ。」とも言われた。 クラスに行くと、生活の時間でグループごとに活動しているところだった。 もうすぐ、自分たちが主催する側となって行うお祭りがあり、その準備をしているのだ。 それぞれ、魚釣りゲームの魚を作ったり、お菓子屋さんのパフェを作るためにビーズや綿を広げたりしている。 私は、一人の男の子がビーズを口に入れて吹き飛ばしたり、綿を口に入れてくちゃくちゃと噛んだりしていることに気付いた。 私が近づくと「ふじ!くら先生、触っちゃダメ!」と言われた。 その後一日、ずっとその妙なイントネーションで呼ばれ続け、他にはまともな会話どころか他のコミュニケーションもとれなかった。
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