ネルソン

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ネルソンとやりとりをするために、私は学ぶ必要があった。 しっかりと英語を勉強してこなかったことを初めて後悔した。 私は英語が苦手だったが、英文を調べたり英和辞書を使ったりして彼の言うことを理解しようとした。 結局、私が英語を話せるようになるより先に彼のほうが日本語を使いこなすようになったのだが。 初日に、お祭りの準備をしているときにネルソンは魔女の絵を描いていたので「This is witch?」などと聞いてみたが突然話しかけられて緊張したせいもあってか答えなかった。 私は、ネルソンの頑なな態度に少し戸惑った。 しかし、昼休みにこんなことがあった。 他の子どもに肘で小突いているのを見て「ネルソン?」と少し横目でにらむと照れたように笑って去っていった。 私が入っていく余地がある。 そう感じた。 彼の私に対する態度は拒否というより、緊張してうまく接することができないことにあるようだった。
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