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「そなたを呼んだのは、他でもない、国の為じゃ」
「国のため?」
「そうじゃ、我が国が半年ほど前から戦をしておるのを知っておろう?」
ディアナは素直に「はい」と答えた。
この国には竜が住んでいたと言われる恵み豊かな国で、その土地を狙って、隣の軍事大国レスキルが攻めてきているのだ。
「実は…じゃな…。
我が息子…詰まりはこの国の王子が、病死した」
少し目を伏せて、悲しそうな顔で王様は言った。
「1ヶ月ほど前じゃ。
戦場から還ってきた我が息子ヘリオスが病に倒れ、1週間ほど前に他界した」
その言葉を聞いて、ディアナは目を見開いた。
「ヘリオスは戦神、武神として崇められるほど優秀なものじゃ。
ヘリオスが死しては士気が下がってしまう。
じゃから、そなたを呼んだ」
パンッと王様が手を叩くとレミーと、知らない甲冑姿の男が入ってきた。
手には額と思わしき四角いものを持っている。
思わしきというのは、今その額に布が掛けられていて見えないからだ。
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