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私が生まれたのは、東日本大震災で壊滅的被害を受けた、岩手県の南の端っこ。
少ししかない思い出も、すべて津波によって流されました。
この震災で明らかになった私のドス黒い過去をお話します。
1977年6月。
遠野家の初孫として、私、凜は生まれました。
予定日より1週間早い早朝でした。
男子に恵まれなかった遠野家は母を筆頭とした四姉妹。
古いしきたりが飛び交う田舎ですから、母、晶子が遠野家を継ぎました。
父の孝輔は三男でしたから、婿養子となりました。
生まれたばかりの私を囲む写真。
ひいおばあちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん、母、父、次女の美紀子おばさん、三女のこず恵おばさん、四女の弘子おばさんの9人家族の写真。
今では海の底に沈んでいるでしょう。
次女の美紀子おばさんは成人していましたが、三女のこず恵おばさんと四女の弘子おばさんは、まだ高校生と中学生でした。
父、母、ともに当時23歳。
若い夫婦にとって、私が生まれたことは、本当に嬉しかったのでしょうか…?
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