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「あの……さ」
「だから、何」
こういうのは中々難しい。
頭で考えてる程簡単には行かない。
「えっと……前から言いたかったんだけどさ……」
「前から?」
「ああ」
実際、今日の放課後、川島を呼び出してここに来るまでは上手くいった。
でも、ここからどうすればいいんだろう。
「で、何なの」
散々迷って、結局僕はストレートに言うことにした。
変化球は得意じゃない。
僕は深く深呼吸した。
軽く目を閉じ、意を決する。
催促の言葉は無かった。
「お前のこと、好きだ」
僕はゆっくり目を開けた。
沈黙。
風の吹く音が妙に大きく聞こえる。
僕は川島の目をチラリと見た。
目が合った瞬間、川島は俯いて目を逸らす。
顔が赤い、ようにも見える。
「私……」
しばらくしてから、川島は蚊の鳴くような声でやっと言った。
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