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「わた……」
「あの……」嫌ならいいんだ。
川島と僕の声が重なった。
その流れで再び川島と僕の視線が重なる。
耐えられなくて、僕は目を逸らした。
川島も同じだった、と、思う。
次に僕が見たのは、向こうの方へ走っていく川島の後ろ姿だった。
ポニーテールをなびかせながらどんどん遠ざかり、ついに角を曲がって見えなくなった。
後に残ったのは僕一人。
背後から風がふわりと抜けていく。
僕は自然に空を仰いだ。
振られたんだろうか。
振られたんだろうな。
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