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「好きになっちゃったものは仕方ないよ、どうにもならない。それで、雪路が幸せになれるなら、僕はそれでいいよ」
「みーた、」
「最初に戻るだけだよ。両思いから、片思いに戻るだけ」
そう言って美鶴は悲しそうに寂しそうに笑った。
それを見て、雪路は美鶴に抱き着いた。
何で忘れていたんだ。
みーたんが大事な人を最優先してしまう人間だという事を。
俺が"他人を好きになった"と言えば、みーたんは潔く身を引く事くらい、分かってた筈なのに。
「ごめ、みーたん、ごめん」
「雪路?」
「さっきの、嘘、好きな人なんて、みーたん以外いない、いないよ…っ」
傷付けた。
俺のちっぽけな自尊心のせいで、みーたんを。
優しくて暖かくて弱いみーたんを、傷付けた。
「ごめ…っ」
「…何だ、嘘か」
良かった、と消え入りそうな声で美鶴は呟き、雪路の背中に腕を回した。
そして自分以上に涙を流す雪路の背中を優しく撫でる。
「ごめん、みーたん、ごめん、ごめんなさい…っ」
「もういいよ、雪路。もう謝らなくていいよ」
「…っ、みーたん」
「ん?」
「…好き」
「…知ってる」
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