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そして美鶴に抱き着いたまま、何故こんな事をしたのかを一通り説明し終わるとふぅん、と美鶴は呟き、背中に回された手が意味ありげに動き出す。
「あ、あの、みーたん?」
「雪路は、分かってないね」
美鶴はそう呟くと目の前にある首筋に唇を寄せた。
「分かってない? どういう…いっ!?」
ガリ、という音と共に走る痛みに雪路は顔をしかめる。
そしてそのまま勢いよくベッドに押し倒され、雪路の腰の辺りに美鶴は馬乗りになり、雪路を見下ろす。
突然の事に追い付いていない雪路を余所に美鶴は先程噛み付いた場所に顔を近付け、滲み出た血をべろり、と舐めた。
「ひ、ぅ」
「雪路がいつも焦ってるのは当たり前だよ。だって僕がそう仕向けてるんだもの」
「どう、いう」
「焦れば焦る程、僕の事だけを考えるでしょ?」
そう言って、美鶴は顔を上げた。
唇の端に着いた雪路の赤い血をべろり、とわざと雪路に見せ付ける様に舐める。
「そんな、の」
「狡い? 狡くないよ、お互い様。だって、僕だって、いつも雪路の事考えてるもん」
美鶴の言葉に雪路は赤面する。
それを見て美鶴は嬉しそうに笑った。
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