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ティーカップの中の紅茶を見つめ、そのまま口を付けた美鶴はその熱さに慌ててティーカップを机に戻す。
「あちゅい…」
「大丈夫か、美鶴」
「したべろひりひりする…」
「いきなり飲むからだ。ほら、見せてみろ」
久遠に言われ、美鶴はべ、と舌を出す。
通常よりも赤くなった美鶴の舌を冷ます様に久遠はふー、ふー、と息を吹き掛けた。
「まだひりひりするか?」
「ん…もうしない!」
「そうか。次は冷ましてから飲め」
「ん!」
久遠の言葉に素直に従い、美鶴はティーカップを持つとふー、ふー、と息を吹き掛ける。
「…すっかり扱いに慣れたみたいだな」
「ん? ああ…美鶴はあまりぐずらないからな」
「まあ、それは確かに」
優と久遠が話し合っていると紅茶を飲み終えた美鶴が優が座るソファーに歩み寄る。
ソファーによじ登り、美鶴は優の頭に手を伸ばす。
「…何だ?」
「あれ? あったかくない」
横から身を乗り出して優の赤い髪の毛を触る美鶴を自分の膝上に抱き寄せる。
安定した場所に座ると美鶴は、しきりに優の髪を触る。
「まさるにーちゃのけっけ、こちゃみたいにまっかっかだから、あったかいのかとおもった!」
「…そうか」
「でも、まさるにーちゃのけっけ、さらさらしててきもちいー」
さらさらした優の髪が気に入った様で、美鶴は器用に髪を三つ編みにして遊んでいて。
それを久遠がじ、と見ている事に気付いた優は美鶴の頭を撫でる。
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