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「須崎、そろそろ」
「まさるにーちゃ、あのね」
美鶴に膝から降りる様、促そうと顔を近付けたら美鶴は優の耳元に口を近付ける。
それはまるで久遠に内緒の話をするかの様に。
その光景を久遠は面白くなさげに見ていたが、美鶴に何かを囁かれた優がピシリと固まる。
「須崎、お前」
「やっぱり、そうなの?」
「いや、あの…だな、」
珍しく言葉を濁すと優は久遠を見遣る。
まるで助けを求めるかの様に。
「どうした?」
「…そんなに知りたいのか?」
「うん!」
「…常盤木が良いと言ったら教えてやる」
優がそう言うと美鶴は久遠を見る。
久遠を見て、優を見て、もう一度久遠を見ると美鶴は久遠の元に向かい、袖を引っ張る。
「あのね、あのね、くおんにーちゃ」
「何だ?」
美鶴を抱き上げ、膝上に乗せて耳を近付ける。
「くおんにーちゃ、おとこのこっておっきくなるといろんなとこにけっけがはえてくるんでしょ?」
「ぶ………っ!!? う、む、ま、まあ…成長したら、な」
突拍子のない美鶴の言葉に思わず噴き出すが、久遠は慌てて平静を保つ。
そんな久遠の苦労も知らず、美鶴は純粋な目を輝かせて質問を続けた。
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