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「くおんにーちゃのけっけはまっくろだから、したのけっけもまっくろなの?」
「…………」
何の躊躇もなく、そう聞いてきた美鶴に久遠は固まる。
「…ん? 悪い、最近、耳が遠くてな。聞こえなかった」
「だからね、くおんにーちゃのしたのけっけはまっくろなの?」
聞き間違いではなかった。
半ば呆然としながら優を見ると優も同じ様に呆然とした表情を浮かべて久遠を見ていて。
答えるべきか否か、いや、答えない方がいいだろう。
等と考え、沈黙している間に自分の分の紅茶を煎れて持ってきた悠布が戻ってくる。
固まっている二人を見て、「どうしたんスか?」と首を傾げる悠布の足元に美鶴は駆け寄る。
「ゆーにーちゃ!」
「ん? 何スか?」
「あのねあのね、ゆーにーちゃのけっけはちゃーろだよね?」
「ちゃーろ? ああ…茶色の事っスか? そうっスね」
ティーカップを机に置き、美鶴と目を合わせる様にしゃがみながら悠布は答える。
「じゃあ、ゆーにーちゃのしたのけっけもちゃーろ?」
「茶色っスよ」
「「何答えてるんだ左海!!」」
美鶴の頭を撫でる悠布を久遠と優の二人が同時に責める。
そんな二人に悠布は首を傾げた。
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