835人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁなぁ、雪路ー…て、ん? あれ?」
PSP片手に共同リビングにやってきた智景は首を傾げる。
いると思っていた雪路の姿がないのだ。
自室にいるのかと見に行くが、自室にもその姿はなく。
「美鶴ん所かな…」
そう呟くと智景は隣室に向かった。
軽く断りを入れてから、玄関の扉を開けると甘い香りがふわりと漂ってきて。
「あれ? 智景。どうしたの?」
黒地のエプロンを着た美鶴と赤のチェック模様のエプロンを着た七緒が入ってきた智景を出迎える。
どうやら、先程香った甘い香りは二人がお菓子を作っているのが原因の様だ。
「んー…あのさ雪路、こっちに来てない?」
「雪路? 来てないと思うけど…七緒ちゃん、雪路見た?」
美鶴の質問に七緒はふるふると首を横に振る。
それを見た美鶴は共同リビングのソファーに座る里久に七緒にしたのと同じ質問を投げる。
けれど、返ってきた答えは七緒と同じ物で。
最初のコメントを投稿しよう!