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紙に書かれた文章をきちんと読んだ美鶴は首を傾げる。
「…つまり、どういう事?」
「まあ、早い話がバックレやがった。イリアの奴」
「…最後のショタくれは?」
「重度のショタコンであるが故にショタに巡り会えてないんじゃない? で、本音がぽろりと」
なるほど、と頷いて美鶴は出来上がったスポンジケーキに生クリームを塗り始める。
「いやいやいやみーたんちょっと待ったぁあぁっ!!! おかしくないっ? ねえ、おかしくない? 何普通にお菓子作りの作業始めちゃってんの!?」
「え、いや、だって…捜さないでって書いてあるし、しばらく放っておけば帰ってくるでしょ」
「主婦…!?」
目を丸くして驚く雪路をちら、と見て美鶴はそれに、と続けた。
「 『見付けても見なかったフリをしてあげて下さい』って書いてあるでしょ」
「うん、でもこれって遠回しに見付けて下さいって言ってる様なもんなんじゃないの?」
「多分、そうだと思う。少し自由になりたいだけで放置され続けるのは嫌なんじゃないの? だから、放っておけば自分から戻ってくるでしょ」
全体にムラなく生クリームを塗り付け、苺を乗せ始める美鶴にでも、と雪路は声を掛ける。
「放置した事で逆に開き 直ったりしない?」
「その可能性もあると思うよ」
「終わるよ!? 『平々凡々で何が悪い!?』が終わっちゃうよみーたん!!!」
「大丈夫だよ」
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