天国の扉

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「次の方どうぞー」 案内の赤鬼に連れられて老人がやってきた。 「はいはい、坂下権之助さんねー?えぇと、98歳、死因は老衰と……。うん。問題ないですねー。それではあちらで天国への手続きしてくださいねー。はい、おしまい。次の方どうぞー」 老人は閻魔のチリチリパーマと真っ赤なマニキュア、紫色のボディコンというスタイルにあっけにとられている間に、手続きカウンターへ連れて行かれた。 『天国門通行許可手続きセンター』 ここではその名の通り、死者が天国へと昇る手続きをする。 まともにやっていたら一日では捌ききれない人数がやって来るので、自然と閻魔の仕事も雑になる。 俺は俗に言う青鬼だ。 閻魔の隣の席に座り、膨大な量の書類の整理に明け暮れる。 いわば、書記、ってやつだ。
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