第1章

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「こ、ここは…?」 そう声を掛けられ、ぼうっと見つめていたことに気が付いたマリアンヌは慌てて目を逸らした。 「ここは、城下町の南側に広がる森の中です」 「……森?あぁ…そうか…」 そう言いながら、彼は起き上がると 「んーーーっ」 と背伸びをした。 「あの、大丈夫ですか?どこか痛いところとか…」 「あぁ…大丈夫。どうやら休んでる間に寝てしまったみたいだ。どこも怪我は無いから心配しなくていい」 「えっ!?ね、寝てたんですか?こんな所で?」 普通こんな獣が出るかもしれない森の中で…しかもまだ肌寒い季節に呑気に寝てただなんて。 マリアンヌが呆れた目を向けると彼は言い訳するように言った。 「いや、最近忙しくて寝不足気味で。今日は休みが取れたからこの先の泉へ行く途中だったんだけど…」 「泉?」 「あぁ。知らないか?森の奥にある泉は疲れを癒す効果があるらしいんだ」
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