第1章

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そんな彼と一体どのようにして出会ったのかと言うと、あれはまだ雪がちらつく日もある春先。 城下町の南側にある森へ、料理に使う草や木の実を取りに出掛けた時だった。 籠いっぱいに草や木の実を入れ、さぁ帰ろうと立ち上がり振り返った私は木と木の間に人が倒れているのに気が付いた。 恐る恐る近寄ると、上質な服をきた男性である事が分かった。 (どこかの貴族様かしら?でも、なんでこんな所に……) 屈んで、男性の顔を覗き込み、体へと手を伸ばすと、温かく息もしている。 死んでいるわけではなく、ただ倒れているだけだと分かりホッとした。 (でも、どうしよう…) このまま放っておくこともできない。 いつ森を住処とする猛獣達が現れ見つかるかもわからない。 出会ったが最後、二人ともまず助からないだろうと思った。
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