第1章

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「あの、大丈夫ですか?」 とりあえず、反応があるかどうか確かめる為に声を掛けてみた。 だが、ピクリともしない彼に焦りだけが募る。 怪我をしている様子は無く、ただ眠っているようにも見える。 今度はその体を揺さぶり、声を掛けた。 「んっ……」 すると、わずかに反応が返ってきた。 マリアンヌは更に彼の体を揺さぶった。 「お怪我はございませんか?」 そう声を掛けると、今まで固く閉じていた瞼がそっと開き、焦点の定まらない瞳がマリアンヌに向けられた。 目を閉じている時にも思っていたが、やっぱりこの人は整った顔立ちをしている。 きっと目を開けても期待を裏切らないだろうと思っていたが、それ以上だった。 なぜか目が離せない。
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