絶望な日々

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『マスター認識完了』 「わぁっ!?」 僕以外誰もいない桜通りの道に、突然声が聞こえたため、無意識に体が退いてしまう。 「なんだ?」 『デバイス認識完了、デバイス名、スカーレット』 キーの高い女性の声が僕の体の近くからどんどん聞こえる。その声は日本語ではない。 (この言葉は……イギリス語!?英語に近いが発音がイギリス語だ……) 父が生きていた頃、英語とイギリス語の違いを少しだけ教えてくれたことを思い出した。 父はイギリス人だ、日々の会話もイギリス語を時々話していて、自然と僕の中にもイギリス語が溶け込んだ経験が、今生かされたと本当に思った。 更にはこの考えられない状況を、出来るだけ冷静に判断するように心がけながら思考を働かせる。 「まっ……まさか……この指輪が話しているのか?」 指にはめてしまった指輪を恐る恐る見下ろしながら、この結論に至った。 「そんな……馬鹿なことなんてないよね?」 『どうかされましたか?マスター?』 「うぁっ!?」 またまた突然のキーの高い女性の声に僕はあまりの驚きに腰を抜かして、地面に尻餅をついてしまった。
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